抗結核薬について

1)抗結核薬の作用機序

 @イソニアジド(INH)
  INHは1945年に発見され、結核菌の殺菌力に優れた最も有用な抗結核薬のひとつである。INHの第一の作用点はミコール酸の生合成を阻害し、抗酸菌の細胞壁の合成を阻害することにあるとされる。その他、核酸合成阻害、糖やアミノ酸の代謝阻害、その他の説がある。INHは、他の抗結核薬に交差耐性がないため、併用療法を用いる。腸管から速やかに、しかもほぼ完全に吸収され、1〜2時間後に最高血中濃度が得られる。また、各臓器への移行も良く、空洞内移行も良いとされる。標準的な使用量は0.2〜0.5g/日と決められている。

 Aリファンピシン(RFP)
  RFPは、放線菌から生成される抗生物質リファマイシンの半合成誘導体で、1968年に発見された。RFPの作用点はRNAポリメラーゼ(DNA依存性)の阻害で、RNA合成におけるチェーン形成開始を抑制するとされている。またINHと異なり増殖中でない菌にも有効であるとされている。RFPに対しては、107〜108個に1個の耐性菌が混在しており、その選択により速やかに耐性化が起こるので、他の有効な結核薬との併用が必要である。また、内服後の腸管からの吸収は良く、臓器や細胞内への移行も良いとされている。標準的な使用量は0.45g/日である。

 Bストレプトマイシン(SM)
  SMは画期的な抗結核薬として最初に登場した抗生物質で、1943年にワックスマンらが放線菌から分離、生成した。SMは、カナマイシン、エンビオマイシン、カプレオマイシンなどと共にアミノ配糖体系の抗生物質に属する。その作用機序はリボソームに直接作用し、蛋白合成を阻害することにあるとされている。しかし、耐性菌の率は高く、単剤で治療すればほとんど強い耐性菌になるとされている。組織移行性は良好であるが、細胞膜の通過性が良くないとされる。現在では、第8脳神経(聴覚)ならびに腎臓に対する副作用が多いこと、抗結核菌活性がそれほど強くないことから、必ず使用しなければならない薬剤ではなくなっている。標準的使用量は、1日1gを週2〜3回使用する。

 Cエタンブトール(EB)
  EBは、静菌的に作用するとされ、速やかに結核菌に取り込まれるが、その作用機序はよくわかっていないとされ、また、耐性菌の発現は遅く、他の抗結核薬との交差耐性はないとされている。水溶性で組織移行も良い。標準的な使用量は、0.75〜1.0g/日で1〜2回に分け内服する。また、視力障害の副作用に注意する必要がある。

 Dピラジナミド(PZA)
  PZAは、酸性環境で殺菌的に働く抗結核薬であり、平成8年から標準的治療薬に組み込まれた。PZAの作用機序、耐性菌発生の機序ともによくわかっていない。組織移行は良好で、髄液へも良く移行するとされる。標準的な使用量は、1.2〜1.5g/日を1〜3回に分服する。